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E10 気になる機関車
2012.05.19
R490ポイントを使っている第1機関区の脱線対策も終わり、以前から興味があった日本で唯一の5軸動輪を持つE10が気になってしょうがないのである。
E10導入の経緯(実車) 奥羽本線の福島〜米沢間は1899年(明治32年)に開業したそうですが、そのうち庭坂〜米沢に至る板谷峠越えの区間は、1000分の33という急勾配が連続する区間で、信越本線の碓氷峠アブト式を除けば、国鉄線の中で最急な勾配であったそうです。 @4100形:
1912年(明治45年)にドイツから4両輸入された勾配線用蒸気機関車。
A4110形:
1914年(大正3年)から4100形の機構を元に日本で設計、改良して国産された機関車。
BE10形:
電化工事が進む中、4110の老朽化も進み、代替機関車として1948年(昭和23年)に僅か5両が製造された国鉄最後の新形式蒸気機関車。
板谷峠での活躍はたったの1年、全国を転々としての運用実績が僅か14年だそうです。
如何しても欲しい [理由]:
@生まれ年が1年違いである。
A日本で唯一の5軸の蒸気機関車である。
B短命であった。
(世に出られなかったC63よりまし)
だからこそ、
CR490の機関区に入線させたい。

という思いで、
盛土作業も業者を頼まず自分で頑張った事だし、そのご褒美で購入する事にした。
金属モデルと言えば、何時も古物ばっかりで新車購入は初めてであります。

ただ残念なのは、此れを製造した「マイクロキャスト 水野」という会社は、廃業したらしく現存しないという事です。
R490通過対策
(机上と言うか頭の中)
現物はまだ有りません。 第3と第4動輪がフランジレスになっているという事は、
第1もしくは第5動輪をフランジレスの第4動輪と入換えれば、通過最小半径が実行上、D51と同じD形になる「はず」なのですが..
現状把握

2012.05.22
購入先の「岡山模型」のご主人から、親切丁寧なアドバイスを頂きました。 [アドバイスの内容]
フランジレス云々より各軸の横の遊間が重要で、可能な限り動輪の横動を大きくする事が大事です。

との事、有り難く頂戴いたします。
改造開始

2012.05.23〜27
早速、内回り線のR550に乗せてみた。

案の定、第3と第4動輪がレールから完全に外れてしまった。
集電ピン撤去 E10はタンク車のため炭水車がありませんので、プラモデル同様に両方のタイヤから集電する方式をとっています。

とは言うものの、集電ピンは横動を大きくするためには邪魔な存在。
集電は何とか考えるとして、撤去するしかないでしょう。
横動拡大 横動の遊びを安達製のD62と比べてみた。
D62の方が断然大きい。
主台枠の幅は略同じなのに何故でしょう。
ノギスでフランジ間を測ってみたら。
・D62は16.0mm
・E10は15.5〜15.6mm

あらら、此れって逆じゃん。
第1、第2、第5動輪をプーラーで抜いて、D62と同じく16.0mmに合わせるしかないなア〜。
連結棒の当たり対策 動輪の横動を大きくすれば当然ながら、
@メインロッドとサイドロッドが当たってロッドがロック状態
Aサイドロッドが絶縁側のタイヤに接触してショート

になるなア〜。
そしたら、メインロッドとスライドバーを広げるしか方法はあるまい。
スライドバー
メインロッド
メインロッドとサイドロッドの間隔、クロスヘッドと第1動輪のサイドロッドの間隔が此れだけあれば当たる事はないでしょう。
足回りの試験 印のクロスヘッドとリターンクランクがボケていますので、動輪が回転しているのが分るでしょうか。

1.5Vでモータが回転しています。
寝せて置いてもロッドの当たりがないという事は、上等な動きでこのまま組上げても問題はないでしょう。
集電方法 此処まで来れば終わったのも同然、残るは集電方法を如何するかです。

使える車輪は、先輪と従輪しかありません。
てな訳で、先輪と従輪を両絶縁車輪から片絶縁車輪に取替えます。
接触(導通)する部分は、すべて精密ヤスリで磨きます。
(導通試験)
仮試運転 主台枠のみの状態で仮運転。

内回り線のR550は難なく通過して、R490ポイントの機関区へ入線。
錘がないためポイントで引っかかりはあるものの、一番奥の此処まで来ましたねエ〜。

一発で此処まで来られるとは、自分もビックリ上出来です。
組上げ 説明書にR700以下の曲線では、@シリンダー尻棒
B給水パイプ
を外せとの事。

それから、動輪の横動が大きくなり如何してもタイヤの当たりそうな、
Aブレーキシューを取外した。
あと一箇所当たるところがありました。
それは第5動輪のサイドロッドとタイヤですが、ここはロッドにプラワッシャーをかませて浮かすしかないでしょうね。
デコーダーの配線をして組上げ完了です。

一つの筐体で(+)と(ー)を集電する訳ですから、先台車と従台車の取り付けネジはプラスチック・ネジを使うとともに、本体との間にプラスチック・ワッシャーをかませ絶縁する事になります。
試運転

2012.05.27
R550内回り線:
R490機関区:
R550の内回り線は、主台枠のみでもOKだったので此処は完璧でしょう。

R490の機関区は、ちょっと心配がありましたけど略完璧に通過。
此処まで来るには、R490ポイントを8箇所クリアしなければならないのですが、ポイントでの引っかかりもなく上出来でしょうね。
営業運転準備

2012.05.28
営業運転をするためには、
@ヘッドライトの工作
A集電を完璧にするためにも、(+)側の集電性向上対策をせねばなるまい。
@古物だったらガリガリ穴をあけてLEDを取付けるのだが、今回は新車だしなア〜。
A先輪と従輪ですから何しろ軽い、棒半田を付けて可能な限り重くする事に、でも従台車の構造が複雑なんだよね。

如何しようかなア〜。
(集電向上対策)j 先台車はD51等と同様に、棒半田で錘。
従台車は棒半田を取り付けられる様な状況ではない。
そこで考えついたのが、処分に困っていた2mmφのワッシャーである。車軸に目一杯詰込んでみた。

ところが印の方はボルスターに当たりダメじゃん、そんな訳で印のワッシャーは取外し。
いろいろありますねエ〜。
営業運転

2012.05.30
いよいよ営業運転開始です。
まあ、営業とはいえR550の内回り線は軽いでしょう。
E10が似合うのは、やっぱり石炭貨車(セキ)でしょうか。

なぜ?
それは先輩の4110形が昭和40年代まで働いていた美唄鉄道の影響でしょうか。
重連もいいなア〜。
(登坂能力) 内回り線へ出入るためには、6%勾配の渡り高架線をクリアしなくてはなりません。
確かD51単機でセキ10両は空転で登れなかったよなア〜。
もう一度試してみたが、この場所で空転し一歩も進みません。
D51が空転した同じ場所から発車させてみました。

結果E10はすんなり発車、動輪が1軸増えただけでこんなにも違うのでしょうか。
という訳で難なく6%勾配を単機で乗り越えました。

恐るべしE10と言ったところでしょうか。
もともと急勾配用機関車なので当然なのですが、模型はそう簡単には行かないのがこの世界、大した機関車です。
(機関区へ) 普段はこんな事やりませんが、ついでにそのまま機関区へ。

集電向上対策のお蔭で、DCC電流計の針も安定しているし、これだったら営業運転できますね。

ヘッドライトを何とかしないと可哀想かなア〜。
トラブル

2012.06.04〜08
営業運転を開始した翌日あたりから如何も動きがおかしくなりまして、「ガツンガツン」と引っかかる様な走りになってきました。
「ガツンガツン」と言えば、
@ロッドまわりクロスヘッドそれからリターンクランクを念入りに見たのですが当たっていません。
Aモーターとギアボックスを主台枠から外して、主台枠の動輪を手で回してみたらスムーズに回転します。
[事象再現]
此れは如何いう事かとモーターに電圧を加えると、「ガツンガツン」と再現しました。
?とりあえず、2個の黒色のプラギアを外して眺めてみたところ、2個のうち1個のギアの山が1個破損して欠落しております。

メーカーは廃業しているし、此れから如何手当てするかが、考えどころですね。
(想定と対策)
[原因の仮定]
@駆動軸側の第2ギアが欠損した状況からすると
ギアボックスと駆動軸との当たり具合が浅かったのではないか。
Aギアの当たりが浅いので、ギアの上面をなめていたのではないか。
と、想定してみました。
[対策]
ギアの欠損が1山である事から、欠損したギアをウォームギヤと抱き合わせにすれば何とかなるかなア〜。

という事で、
@モーターの取り付位置をずらして、ウォームギヤと第1ギアの密着性を高めた。
Aギアボックスの駆動軸に接触する部分を丸ヤスリで削って、第2ギアと駆動軸ギアの密着性を高めた。
(太鼓橋対策)
分解ついでに太鼓橋のレールの継目が山型になっているので、この対策もやって於く事に。

第3動輪の印が弱めたスプリング。
此れでレールが山型でもある程度の粘着性が確保できるかなア〜。
それからスプリングが強いので、全体的に上下運動に柔軟性をもたせるために、軸受けメタルを0.5mm程削ってみましたが、あまり効果はないのかなア〜。
(脱輪対策)
動輪の横可動が大きくなったため第3第4動輪がカーブで内側に脱輪するようになったので、ついでに第4動輪をフランジレスからフランジ有りに替える事に。

EF58のタイヤが15.5mmφでピッタリだったのですが、輪心に合わず失敗が許されない輪心を削るのが一苦労でした。

タイヤを抜かれたEF58の輪心。
いろいろ有りましたねエ〜。
でも、一通りの作業が終わったので、ギアの慣らし運転です。

少々の引っかかりはあるものの、運用には差し支えない状態まで回復しました。
ギアの密着性を高めたため、モーターの起動電圧は1.5Vから2V強になりましたがモータの負荷には問題ない範囲。
モーター電圧は6V位で半日回転させていましたが、ギアもそこそこの動きなのでこのまま組上げる事にしました。
取替えたタイヤは一寸幅広ですが、集電性を考えれば有利でしょうか。

でも、何か気になるなア〜。
EF58のタイヤの方が、フランジの高さが高いのであります。

何を考えたのかと言いますと、
フランジの高い方を第5動輪にもっていった方が脱線対策になるでしょう。
より完璧を期すため、第4と第5動輪を取替え。

如何です、綺麗になったでしょ。

そうそう、ギアボックスのカバーに一工夫してあるのです。
軸受けを押さえつけて、ギアを密着させる細工です。
それは何でしょう??
些細な事

2012.06.09
例によって内回り線への太鼓橋です。
此処を問題なく通過できないと、営業運転できる区間が限定になるので如何してもクリアしてもらわないと...
やっぱりねエ〜。
炭水車が無い分、カーブ且つ6%勾配の推進となるとキツイですね。

貨車に押されて機関車の後部が外側に、それで従輪が浮いています。

脱輪まで行かないので気を付けて運転すれば良い事だし、ここは妥協でしょうか。
とりあえずこれで一件落着。

自分勝手なレイアウトに無理やり機関車を合わせようとすると、こういった事態に陥るという見本でしょうか。
すんなり走ったのでは面白くも可愛くもないし、こういう事があるからこそ鉄道模型って「終りがない」「止められない」という事ですよね。

これからもトラブルを解決する過程を楽しめればと思う次第です。
☆鉄道模型
[5軸動輪の蒸気機関車]
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